折鶴に乗って天国へ
2006年 12月 02日
先週、シアトルでは初雪が降りました。
朝目覚めると、我家の裏庭にあるリンゴの木が、すっかり銀世界の中にポツリと立ちはだかっていました。ミッシェルは雪をみて大興奮、喜びを隠せずお庭を駆け回っていました。
しばらくすると、東京にいる母から携帯に国際電話がはいりました。祖母が亡くなったとの突然の知らせ。たんたんと報告しようとする母の声から、なんとも言えぬ悲しさが伝わった。どんな状況下でも、遠い海外で暮らしている子供にできる限り心配や負担をかけないようにしたいと想ってくれている母の思いやりも言わずと伝わってきて、私の胸を張り裂きました。
こんな時に側にいてあげられない私は親不孝でないことを、ただただ祈るばかりです。弟夫婦が母の近くにいてくれるだけでも、心強いです。
電話を切った後、溢れる感情を落ち着かせようと窓から外の景色をみつめていた。
するとなぜか静寂な雪世界で深い深い眠りについた、穏やかな表情をしたかわいらしいおばあちゃんの姿が頭をよぎりました。そういえば、おばあちゃんは東北生まれだから、雪の中で育ったんだな~と。まるで、雪化粧をしたように透明感のある美しい肌をしたおばあちゃんと、真っ白な雪景色が私の心で見事にリンクしたのでした。
その日は、心象と具体的な状況が偶然一体になり、雪世界が今まで以上にとても神秘に思えて仕方がありませんでした。
銀幕の世界で深い眠りにつく姿が、91歳という長い人生をまっとうし、誰もが避けては通れない寿命を静かに受け入れて、自然の摂理と一体となったように感じたのです。人間の生の重みと自然の調和が私の心の中で微妙に重なり、その自然との調和が降り続く静けさの白い世界をイメージさせました。
そして、ある一つの詩(以下参照)が心の中で何度も何度も響いたのです。
「1000の風」
-作者不詳-
私のお墓の前で
涙を流さないで下さい
私はそこにはいません
私は眠ってなんかいないのです
ほら いまはもう
1000の風になって
空を渡っています
ダイヤモンドのような
雪のきらめきの中にいます
実りの作物に降り注ぐ
光の中にいます
秋には やさしく降る雨となって
すべてのものを包んでいます
あなたが
静かな目覚めの朝を迎えた時
私は 飛び立つ鳥とともに
舞い上がる風の中にいます
夜 あなたが一人眠りにつく時は
幾千万の星の中で
いつも見守っています
だから
どうか お墓の前で
泣かないで下さい
私は そこにはいません
私は 死んではいないのです
風となり 光となって
貴方のそばに いるのですから
A THOUSAND WINDS
- Author Unknown-
Do not stand at my grave and weep,
I am not there. I do not sleep.
I am a thousand winds that blow,
I am the diamond glints on snow,
I am the sunlight on ripened grain,
I am the gentle autumn's rain.
When you awaken in the morning's hush,
I am the swift uplifting rush
of quiet birds in circled flight.
I am the soft stars that shine at night.
Do not stand at my grave and cry.
I am not there, I did not die.
きっとこの詩にあるように、ダイヤモンドのような雪のきらめきとなり、シアトルの空から最後のお別れを言いに、舞い降りてきてくれたのでしょうか。
お葬式の当日は、棺の中に、たくさんの折鶴を入れたとの報告を受けました。きっと折鶴に乗って、お祖父ちゃんが待っている向こうの世界へ旅立って行ったのでしょうね。お祖父ちゃんが温かく迎えてくれたと信じているから、心配ないですよね。
子供の頃から、お祖母ちゃんの家に遊びに行っては、美味しい手料理を食べるのを心待ちにしていたのをまるで昨日のように覚えています。夏には、お庭で育てたお野菜を、その場で摘んでは食べ、新鮮なお野菜の美味しさに驚いたのもはっきり覚えています。それこそ純粋なオーガニック野菜だったのですよね。
今のように寒い冬には、心まで温まるようなとびっきり美味しいスープをよく作ってくれましたよね。作り方を尋ねると、スープ一品に何時間も心を込めて作ってくれていたことを知り感謝したのも、今となっては素敵な思い出の一つとして心に残っています。今まで本当にありがとうございます。安らかにお眠り下さい。
朝目覚めると、我家の裏庭にあるリンゴの木が、すっかり銀世界の中にポツリと立ちはだかっていました。ミッシェルは雪をみて大興奮、喜びを隠せずお庭を駆け回っていました。
しばらくすると、東京にいる母から携帯に国際電話がはいりました。祖母が亡くなったとの突然の知らせ。たんたんと報告しようとする母の声から、なんとも言えぬ悲しさが伝わった。どんな状況下でも、遠い海外で暮らしている子供にできる限り心配や負担をかけないようにしたいと想ってくれている母の思いやりも言わずと伝わってきて、私の胸を張り裂きました。
こんな時に側にいてあげられない私は親不孝でないことを、ただただ祈るばかりです。弟夫婦が母の近くにいてくれるだけでも、心強いです。
電話を切った後、溢れる感情を落ち着かせようと窓から外の景色をみつめていた。
するとなぜか静寂な雪世界で深い深い眠りについた、穏やかな表情をしたかわいらしいおばあちゃんの姿が頭をよぎりました。そういえば、おばあちゃんは東北生まれだから、雪の中で育ったんだな~と。まるで、雪化粧をしたように透明感のある美しい肌をしたおばあちゃんと、真っ白な雪景色が私の心で見事にリンクしたのでした。
その日は、心象と具体的な状況が偶然一体になり、雪世界が今まで以上にとても神秘に思えて仕方がありませんでした。
銀幕の世界で深い眠りにつく姿が、91歳という長い人生をまっとうし、誰もが避けては通れない寿命を静かに受け入れて、自然の摂理と一体となったように感じたのです。人間の生の重みと自然の調和が私の心の中で微妙に重なり、その自然との調和が降り続く静けさの白い世界をイメージさせました。
そして、ある一つの詩(以下参照)が心の中で何度も何度も響いたのです。
「1000の風」
-作者不詳-
私のお墓の前で
涙を流さないで下さい
私はそこにはいません
私は眠ってなんかいないのです
ほら いまはもう
1000の風になって
空を渡っています
ダイヤモンドのような
雪のきらめきの中にいます
実りの作物に降り注ぐ
光の中にいます
秋には やさしく降る雨となって
すべてのものを包んでいます
あなたが
静かな目覚めの朝を迎えた時
私は 飛び立つ鳥とともに
舞い上がる風の中にいます
夜 あなたが一人眠りにつく時は
幾千万の星の中で
いつも見守っています
だから
どうか お墓の前で
泣かないで下さい
私は そこにはいません
私は 死んではいないのです
風となり 光となって
貴方のそばに いるのですから
A THOUSAND WINDS
- Author Unknown-
Do not stand at my grave and weep,
I am not there. I do not sleep.
I am a thousand winds that blow,
I am the diamond glints on snow,
I am the sunlight on ripened grain,
I am the gentle autumn's rain.
When you awaken in the morning's hush,
I am the swift uplifting rush
of quiet birds in circled flight.
I am the soft stars that shine at night.
Do not stand at my grave and cry.
I am not there, I did not die.
きっとこの詩にあるように、ダイヤモンドのような雪のきらめきとなり、シアトルの空から最後のお別れを言いに、舞い降りてきてくれたのでしょうか。
お葬式の当日は、棺の中に、たくさんの折鶴を入れたとの報告を受けました。きっと折鶴に乗って、お祖父ちゃんが待っている向こうの世界へ旅立って行ったのでしょうね。お祖父ちゃんが温かく迎えてくれたと信じているから、心配ないですよね。
子供の頃から、お祖母ちゃんの家に遊びに行っては、美味しい手料理を食べるのを心待ちにしていたのをまるで昨日のように覚えています。夏には、お庭で育てたお野菜を、その場で摘んでは食べ、新鮮なお野菜の美味しさに驚いたのもはっきり覚えています。それこそ純粋なオーガニック野菜だったのですよね。
今のように寒い冬には、心まで温まるようなとびっきり美味しいスープをよく作ってくれましたよね。作り方を尋ねると、スープ一品に何時間も心を込めて作ってくれていたことを知り感謝したのも、今となっては素敵な思い出の一つとして心に残っています。今まで本当にありがとうございます。安らかにお眠り下さい。
by matsumiseattle | 2006-12-02 16:52 | その他